Midnight Blue

札幌駅を出発してから3時間弱。窓枠の外は、灰色一色。可哀想に。サロンカーからの景色を楽しみにして乗った人もいるだろう。私は1人食堂車でワインを飲んでいた。ここ最近休みなしでやっていたからいい息抜きにもなった。



天気は曇りから、雨に変わっていた。大崎楓は、この豪華寝台列車の旅を満喫していなかった。お目当てのサロンカーもあいにくの天気だ。そして、彼女は向かい側の空席に、誰かが座っているかのように、ただ見つめる。彼女の頬に一筋の涙がつたう。乗務員が通りかかり、話しかけると、その涙はいっそう溢れた。この雨の如く。
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