Midnight Blue
急いで食堂車に行き、空いている席を探す。4〜50くらいの男性の向かい側が空いていた。
「あの…、相席よろしいですか?」
ビシッと着たスーツ。
「どうぞ」
と、微笑んだ。
何処かのお金持ちかと思うくらい、しっかりしたテーブルマナー。一つ一つの動きが、美しいとさえ感じた。どんな仕事をしているのか。そう聞きたかったが、失礼では?と感じてしまう。
「お嬢さん、どちらから?」
と、唐突に聞かれ狼狽える。
「ぇっと、ほっ…北海道です」
その人は「そうか」としか、答えなかった。
「貴方は?」
「北海道」
同じなんだ。
何故かそれだけで安心してしまった。