LOZELO



***


呼び出されたのは、初日と同じ会議室。

江口先生とは違って手ぶらの神崎先生は、どかりと椅子に腰を下ろして、私の今の体調を尋ねた。


「むにゃむにゃしてます」

「検査の名残がまだ残ってるのかもね。痛む?」

「痛くはないですけど」


もし強く痛むようだったら看護婦さんに言ってね、と真剣な口調で言われて調子が狂う。

神崎先生の性格は、まだ掴めない。


「今日の検査で判断して、紗菜ちゃんは最初に言った病気で間違いない」


長々と病気の説明をしてくれたけど、大体が自分で調べたことと重複していたから、半分くらい聞き流していた。

でも。


「かなり、我慢したでしょ」


温かい言葉に、正直涙が誘発された。


「ひとまず来週の検査が終わるまでは腸を休めることが紗菜ちゃんの仕事。ご飯は食べれないし、暇だろうけど」


良かったら俺が話し相手になろうか?と言われたから、ため息と共に丁重にお断りした。

三日しか付き合いはないけれど、神崎先生は父親みたいだ。

ちょっとおせっかいな、ドラマにでも出てきそうな。
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