LOZELO
検査の話が終わって、話が一瞬途切れると、静かに名前を呼ばれた。
真剣な顔をしているから、目をそらした。
「聞きたいことがあるんだけど」
もうなんとなく、何を聞きたいのかわかる気がした。
「紗菜ちゃん、何かストレスだって感じてること、ない?」
「特には」
「この病気って、ストレスも悪化に関わってる可能性が高いんだよ。だから、そこを解決できれば少しは症状が緩和することもある」
話してくれないかな、何でもいいから。
心の中を整理できない限り、言葉にならない。
問題と真正面から向き合うことを、避けてきたから。
しばらく考えてみても、明確な言葉にはならない。
「って、江口君が言ってたよ。もちろん、俺も心配してるけど」
今日は一度も顔を見ていない人の名前を急に上げられて、完全に思考回路が絡まった。
「紗菜ちゃんは、新患としては江口君が始めて受け持つ患者さん。紗菜ちゃんが入院するって決まった日からすごく心配して、紗菜ちゃんがくるのを待ってたんだよ」