もう、好きじゃないから

離して!

早瀬主任は、
会社に電話して、確保できたことを報告した。


「予約分は、とりあえず準備できた。
はぁ〜…疲れた。」ふと、腕時計をみた

「昼、まだだったな!良し!まずは、
腹ごしらえだ!」

「私は、帰りますので!」
車を降りようとした。
ぐっと腕を掴まれ??

「離して!離してよ!」
「飯!付き合え!」

引き戻された私は、
早瀬主任の車でそのまま
一件の建物の前に。


「ここだ!行くぞ。」
グイグイ手を引かれ、

「勘ちゃん!俺!」
「おー!奏か!」
「腹減った!例のやつ二つ!」

「毎度!」

コップに入った水を出され、
走り回ったせいか喉がカラカラ。

「ゴクン。あ〜…。あれ?レモン?」

「あ〜。ここは、レモン水なんだよ。」
なんでも、食事して口の中が油っぽいのを和らげてくれるんだとか。


「奏!ほら!進化したんだよ!この
オムライスソース!」

「へぇー!どれ…。うま〜!!」

「なぁ!だろ??」

「花町!食え!ほら!」

「…。頂きます。…。」

ふわ〜と薫る赤ワイン??
「おいしい…。卵トロトロ!」


「なぁ!うまいだろ!?」

嬉しそうに笑う早瀬主任。
ふと、思い出した。
はにかんだように、笑う奏のこと。

「ご馳走様でした。」
勘ちゃんさんにお礼を言って店を出た。

「あの…。これ、」
私は、食事代を差し出した。

横目でチラっと見ると、
「いらねぇよ!おごり!」

「でも、奢ってもらう理由ないので!」

「いらん!なら!今度の休み俺に付き合え!以上!」

「はぁ?意味わからないんですが!
なんで、貴重な休日をあなたと過ごさなければいけないんですか?!」


無理やり彼のポケットにお金をねじ込もうと試みた。が
ぐっと身体を反らされ、失敗。


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