君の事を。
「…そっか。でね?」

一瞬で、体全体でその声を聞き取ろうとする。

体が、強張る。

全ての動きが止まる。

スーツに吸いかけの煙草の吸殻が落ちてしまうのも気にならないくらいに。



本当は、もう分かってるくせに。

確信を得たいとばかりに、すぐ横にあった壁の向こうをちらりと覗く。

「…っ」



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