平凡少女の日常
………で、ここで円の公式なんだが、…おい咲希窓ばっか見てないでここ答えてみろ。」
なんて思ってる暇なんか無かったようだ
「はい。」
だるい。
とても怠いのだが当てられてはしょうがない。
ギギッと椅子を後ろに引いてゆっくりと立つ。
…湿気ているせいで椅子が上手く引けなかった
「円の公式はxの二乗+yの二乗=rの…まぁ、半径の二乗ですね。答えとしてはこの円は原点を中心とした半径2の円なのでxの二乗+yの二乗=4。…ですよね?」
少し嫌みっぽく言ってみる
「うむ、正解だ。…だが、あんまりよそ見をするなよ。」
効果は特になかったけど
「すみませんでした。」
思ってもないことを口にしてそのまま席につく。
(めんどくさいなぁ…。ここまではまだ簡単だけど、)
机の上には予習済みの色とりどりなルーズリーフとまだ先のところを開けた教科書。
(…もう予習しとこうかな。家でやるの面倒だし)
手に持ったシャーペンをくるりと回しもう一度外を見る。
代わり映えしない、いつもの街が雨に濡れている姿をぼんやりと見つめる。
「…帰りたい。」
微かに口にした言葉は、空気を響かせるだけで誰の耳にも届かなかった…。