あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
また、全部嘘だった。


『ちーちゃん!ずっと待ってるからねえ!』


全部
全部
全部


『あけましておめでとう。今年は皆で年越しが出来なかったけど、来年は絶対みんなでしようね。ちーちゃんがいないと寂しいよ』


全部
全部
全部


『ついに三年生になっちゃったね。皆で過ごせる最後の一年だよ?ねえ、ずっと待ってるから。ひーちゃんやこーちゃん、あーやにさーちゃんと、皆で、待ってるよ』


全部、嘘だった。

無造作に転がる携帯を拾い上げることもしないで、声を出して高らかに笑い続ける。そうでもしないと自分を保っていられなかった。


「ハハハハ!ほんと、どうしようもねぇな、ハハッ!携帯のロックぐらいしとけよクソ野郎……っ、母さんも留守だからって、油断し過ぎだろ、ハハハハ!あー、あ~…、美菜も、……美菜あ゙…」


許さない、ユルサナイ。

どいつもこいつも、絶対、許してなんかやらない。

壊してやるよ、この腐った世界を。
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