あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
一度歪んだ思考はもう止めることが出来ない。
好きだから、美菜のことを想っていたからこそ許せなかった。穢い大人達のように、美菜まで自分を騙していたのかと。
許さない、ユルサナイ。
俺が思い描いた未来へのディストーション。
千社守祭で神人に選ばれた人間は、ひと月もの間、他人との一切の関わりや欲などを断ち、神へと近づく儀式をこなしていく。その苦行たるや。想像に難くない。そして、だからこそ使えると思った。
大当たりだ。過去の千社守祭の文献や資料を調べていた俺は、興味深い一文を目にする。
『昭和三十一年に行われた千社守祭で、神人が悪霊に取り憑かれてしまった。その者に触れた村人らは三日三晩高熱に魘され、暴れたのち死亡。翌年祭りを中止にしたところ、我が村は飢饉と謎の疫病に襲われた。ならばと再び祭りを行えば、神人は高い頻度で悪霊を呼び寄せ憑かれるようになってしまった。これは根本から祭りの体制を考え直さなければならない。嗚呼、何故この村がこんな事に』
これで合点がいった。最初はやはり神に触れる祭りだったのだ。それが神から逃げるようになったのはこの一件のせい。
そうして新たに考え直された〝千社守祭〟の在り方。それを逆手にとって利用することにした。美菜を追い詰める材料として。
好きだから、美菜のことを想っていたからこそ許せなかった。穢い大人達のように、美菜まで自分を騙していたのかと。
許さない、ユルサナイ。
俺が思い描いた未来へのディストーション。
千社守祭で神人に選ばれた人間は、ひと月もの間、他人との一切の関わりや欲などを断ち、神へと近づく儀式をこなしていく。その苦行たるや。想像に難くない。そして、だからこそ使えると思った。
大当たりだ。過去の千社守祭の文献や資料を調べていた俺は、興味深い一文を目にする。
『昭和三十一年に行われた千社守祭で、神人が悪霊に取り憑かれてしまった。その者に触れた村人らは三日三晩高熱に魘され、暴れたのち死亡。翌年祭りを中止にしたところ、我が村は飢饉と謎の疫病に襲われた。ならばと再び祭りを行えば、神人は高い頻度で悪霊を呼び寄せ憑かれるようになってしまった。これは根本から祭りの体制を考え直さなければならない。嗚呼、何故この村がこんな事に』
これで合点がいった。最初はやはり神に触れる祭りだったのだ。それが神から逃げるようになったのはこの一件のせい。
そうして新たに考え直された〝千社守祭〟の在り方。それを逆手にとって利用することにした。美菜を追い詰める材料として。