あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─


「よっ!久しぶりだなー」


夏休みも中盤を過ぎ。

県外へと出ていた幸次がこの村に帰って来たその日の夜のこと。

恐らく幸次は俺達の関係が元通りになっていると信じて疑わなかったのだろう。なんの(わだかま)りもない幼少期を彷彿とさせる彼の明るさが、胸を深く抉ったことを覚えている。


「あ?なに?どした?つーか美菜は元気?って、儀式中か」


幸次の言葉に聖達は顔を伏せた。そして俺はある方向を指さす。


「なあ、幸次、聖に綾、早紀、これから予行練習をしよう」
「……ん、あれ?…ち、あき?」
「一週間後の、祭りの、予行練習だ」


がさがさと獣のように草木を揺らし、丸々と太った大木の隙間からぬるりと現れたのは美菜――の、姿に見える人の抜け殻。


「ゔぅ……あ…」
「え、ちょ、なに…」
「……は?美菜?」
「ぐぅ゙…うぅ…」


紅い月が、美菜の顔を照らす。


「ゔああああぁぁあ゙あァァ!」
 
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