あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪14≫ 早紀からの手紙
*
長い、長い、眠りから目を覚ました時。
すぐ傍には母さんがいた。手のひらに感じる温かさは聖がくれたものと同じ。聖がくれた温もりとなにも変わらない優しさ。けれど。
「目覚めてすぐにで悪いんだが、相馬聖くんのことで少しだけ話を聞かせて欲しい。本当に、すまない。こんな時に」
草臥れたスーツに嗄れ声。
語気の荒さとは裏腹に、母さんの背後から遠慮がちに姿を現した黒い人影は、以前俺達をしつこく事情聴取したあの刑事。
「聖くんは亡くなったよ」
「っ、」
返事の代わりに流れた涙が、診療所の真っ白で清潔なシーツに小さな染みを作る。
『最期まで一緒にって幸次とも約束したのにな。ごめん、千秋』
聖、聖、ひじり…
『さよなら』
長い、長い、眠りから目を覚ました時。
すぐ傍には母さんがいた。手のひらに感じる温かさは聖がくれたものと同じ。聖がくれた温もりとなにも変わらない優しさ。けれど。
「目覚めてすぐにで悪いんだが、相馬聖くんのことで少しだけ話を聞かせて欲しい。本当に、すまない。こんな時に」
草臥れたスーツに嗄れ声。
語気の荒さとは裏腹に、母さんの背後から遠慮がちに姿を現した黒い人影は、以前俺達をしつこく事情聴取したあの刑事。
「聖くんは亡くなったよ」
「っ、」
返事の代わりに流れた涙が、診療所の真っ白で清潔なシーツに小さな染みを作る。
『最期まで一緒にって幸次とも約束したのにな。ごめん、千秋』
聖、聖、ひじり…
『さよなら』