あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
(勝手だな)
そう、勝手だよ。
あれだけ毛嫌いをしていたのに、結局は自分のエゴでアイツの姓を継いだ。堪らず深く重い溜息を吐き出し、運んで来た荷物を適当に床に落として自分は埋もれるようにベッドに沈む。
変わらないこの空間で、これから何を考えればいいのだろうか。
「……あれは」
ふと、目の端で捉えた長方形のもの。
それを手にした瞬間、心臓がひとつ大きく鳴った。
〝千秋へ〟
この字はまさか、とは思いつつ、恐る恐る手紙を裏にするとそこにはやはり見覚えのある綺麗な字で早紀と書いてあって、顔が歪む。
「早紀?」
どくどくと速くなる鼓動が煩い。直接、脳に響いているような音が指先までもを震わせる。そんな震える指で、白色のシンプルな封筒を開けると、なかには一枚の手紙が入っていた。
俺は、後悔する。