あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
風が、啼く。


(来たか)


背後から感じる厭な圧迫感に、目の前で指を絡めた。

これで、終わり。終わるんだ。


『それでもやっぱり生きていて欲しい、生きて、償って欲しい。これは俺の、俺達の総意だよ千秋』


悪いな、聖。お前との約束は守れそうにない。死んで楽になりたいだとか、逃げたいだとか、そんなつもりはないけど、でも。

俺こそ生きてちゃ駄目だろ。駄目なんだよ。

生きたい。
生きたい。
死ぬのは怖い。


『あ゙あ、ぁ、痛…ぅ゙、死にた…く、ない…死にたく、ない…よ…』


死にたくない。

ああ、なんて重たい言葉だろう。

ただ、普通に生きていられる幸福がこんなにも眩しい。ごめん、聖。ごめん、早紀。ごめん、幸次。ごめん、綾。ごめん、美菜。
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