あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
「これ、……まさか、は?」


立ち上がる前に咄嗟に腕を伸ばした。ところどころ滲んで読めなくなってしまった箇所はあるけど、大切な部分はそのまま、

そのまま、不自然な片仮名。いや、そんな、嘘だろ?


「!!」


背中に感じる圧迫感が、更にその重みを増す。

違う、違うよな?小刻みに震えだす指先で、早紀の美しい文字をなぞる。ゆっくりと答えを導き出すように。間違わないように。


「……ヒ、ジ、リ、ニ、キ、ヲ、」


そこまで口にしたところで首筋にひんやりとした感触が広がった。

この冷たさ、知ってる。
この温かさ、知ってる。

手から滑り落ちる手紙は、風に飛ばされて宙を舞った。

ああ、そんな、本当に、嘘だ。嘘だよな。違うって言ってくれよ。





「やあ、千秋」


鼓膜から脳へと響く優しい低音。

この声の主を知らないわけがない。何度も助けられた。何度も励まされた。何度も、なんども、この声で。――そうだよな?
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