あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪17≫ エピローグ
*
「あんれまあ、お嬢ちゃん一人でどうしたんだい?」
相馬家の前。
聖の祖母がゆっくりと腰を折ると、少女は心得ていると言わんばかりに耳元に唇を寄せ、辿々しくもハッキリと大きな声で喋った。
「あっちにね、パパとおじちゃんのおともだちがいるの。ばらばらだけど、いるの。それでね、おじちゃんが、ここにいけって」
「パパ?おじちゃん?」
「おてがみあるよ」
そう言って白い封筒を手渡し、無邪気に微笑む少女。
わけもわからず封筒を受け取った聖の祖母は、自分の名が書かれている宛名を、その見憶えのある文字を見てくしゃりと顔を歪めた。
「……お嬢ちゃん、名前は?」
「なまえ?なまえはチナだよ」
「ちな?」
「そう、――千菜!」
それから数時間後、村の若衆で結成された捜索隊によって、森の奥深くで発見されたのは腐敗の進んだバラバラの人体、それぞれ、腕、脚、胴体と、まだ血の乾き切っていない頭部。
そして、村全体が見渡せる山頂付近の開けた場所にひっそりと置かれた丸石の下からは、身元不明の白骨化した十四、五歳とみられる少女の遺体が見つかったという。
尚、藤川千秋、相馬聖の両名の消息は依然不明のままである。
「あんれまあ、お嬢ちゃん一人でどうしたんだい?」
相馬家の前。
聖の祖母がゆっくりと腰を折ると、少女は心得ていると言わんばかりに耳元に唇を寄せ、辿々しくもハッキリと大きな声で喋った。
「あっちにね、パパとおじちゃんのおともだちがいるの。ばらばらだけど、いるの。それでね、おじちゃんが、ここにいけって」
「パパ?おじちゃん?」
「おてがみあるよ」
そう言って白い封筒を手渡し、無邪気に微笑む少女。
わけもわからず封筒を受け取った聖の祖母は、自分の名が書かれている宛名を、その見憶えのある文字を見てくしゃりと顔を歪めた。
「……お嬢ちゃん、名前は?」
「なまえ?なまえはチナだよ」
「ちな?」
「そう、――千菜!」
それから数時間後、村の若衆で結成された捜索隊によって、森の奥深くで発見されたのは腐敗の進んだバラバラの人体、それぞれ、腕、脚、胴体と、まだ血の乾き切っていない頭部。
そして、村全体が見渡せる山頂付近の開けた場所にひっそりと置かれた丸石の下からは、身元不明の白骨化した十四、五歳とみられる少女の遺体が見つかったという。
尚、藤川千秋、相馬聖の両名の消息は依然不明のままである。