あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
「……じゃあ、少しだけ外に行って来る。悪いな」
「ん、ゆっくりして来たらいい」
「ああ」
慣れない正座から立ち上がると、チリチリと焼けつくような痺れとふらつきがセットで襲ってきて思わず眉間に皺が寄る。
それでも何でもないような振りをして背筋を伸ばした。気取られるな。隙を見せるなと自分を叱咤して。精一杯の虚勢を張り、軽く会釈をしてから敷居を跨いだ。
どんなに荒々しく地を蹴っても足裏の感覚はない。
無造作に前髪を崩し、ふと鼻についたのは葬礼独特の香り。既に身体中に染みついてしまっているのか屋外へ出てもその匂いは消える事はなく不安定に風に乗せられ、だからこそ。
「千秋」
幸次との再会を容易いものにしてくれた。
ああ、ああ、ほんとうに。
早紀と同じだ。聖が言っていた通り少し肉厚は増しているけど、細い眉毛に坊主頭は変わっていない。ガキ大将がそのまま大人になったような懐かしさ。〝あの頃〟に戻ってしまったような寂寥感。
パッと見は厳つくて強面。なのにくっきり二重で仔犬みたいなまん丸いつぶらな瞳は健在。成人を越えても似合わないものはやはり似合わないもんだな、と妙な納得とともに笑えた。
「久しぶり、幸次」