あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
「千秋、起きたか?朝飯出来てるよ。ほぼ婆ちゃん作だけど」


寝不足なのか、目の下に濃いクマを作って微笑む聖。

そりゃあそうだ。他人のことなんか気にしてる場合じゃないだろうに。揃いもそろって良いやつ過ぎて泣けてくる。本当に。

聖は早くに両親を亡くし、いや。正確には〝捨てられた〟後に両親の死を知り、父方の祖母の家で育てられた。

俺だったら、こんなに真っ直ぐに育つ事は出来なかったと思う。


「何から何まで、悪い」
「はは、千秋らしくないな」
「そうだなー、千秋はもっとドシン!と、構えてなくちゃ調子狂うっつーかさ?」
「……どんなイメージだよ」


この土地へ戻ってきて、初めて心が安らいだ瞬間だった。大切な仲間達との掛け替えのない時間。俺は、忘れない。

今、笑っている聖も、幸次も、自分自身も。

忘れない、忘れられない。〝あんな事〟になるまでは。
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