あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
「――千秋?」
左耳から入ってきた聖の柔らかな声。
残り僅かとなった太陽の光がゆっくりと西へ没する。また、やってくるのだ。常闇の世界が。何者の侵食も許さない、漆黒の世界が。
「聖、悪いけど今日も泊めてくれないか?」
「ん?ああ、いいよ」
弱気になって、怖くなって、一人になることを避けた。それに自然と続けてくれる優しい友。ついてきてくれる、友。
「あー、したらさあ。俺も泊めて貰えねえ?……や、聖のバッちゃんに迷惑かけっかな?」
「はは、大丈夫。婆ちゃん、久しぶりに家のなかが賑やかで嬉しいって言ってたから」
「マジで?」
「ん。だから遠慮はなしな」
「っ、おう!」
ふわりと微笑む聖に釣られて、幸次も口の両端を持ち上げる。
俺は笑えなかった。笑えたら良かったのに。
隠してしまおう。この暗闇に乗じて。隠して、飲み込んで、見つからぬよう。陽の光は完全に消えた。替わりに大きく不気味に欠けた地球唯一の衛星が鈍く妖しい光を降らし始める。