あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
「婆ちゃん、俺達ちょっと出てくるから。――ん、心配しないで」
再び男の方へと向き直った聖の顔は、今までに見た事もないような酷く冷めたもので、困惑する。俺達は知らない。こんな聖を。
「行きましょうか」
知らなかった友の一面。追い付かない脳の処理。
耳から入ってくるこの冷え切った声も聖のもので間違いないのだろうかと、記憶が、目の前の現実が、重なり合わずに大きくブレる。
「そうこなくっちゃ!二人も付き合ってくれるよね?」
「ええ」
「……っす、」
確信めいた男の声色に釣られて、ただ首を縦に振った。
朝露に濡れた向日葵の葉。
光を含んで煌めく、生命力豊かな逞しくも美しい姿。〝生命〟の象徴。それが自分達の置かれている状況には毒にしかならず臍を嚙む。ああ、眩しい。日陰は何処だ。暗い、くらい、闇の底。