あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
そんな情けない俺の代わりに、聖が幸次の肩を優しく叩いた。


「無駄なことは承知の上でって話し合っただろ?」
「そ、……だな、」
「ほら、千秋も」
「ああ」


聖はいつも俺達を先導してくれる。

どんな時も見捨てることなく傍に居てくれた。幸次だってそうだ。巻き込んだのは俺なのに。始まりは、全部、俺なのに。


『ちーあき!』
『千秋』


綾も、早紀も、皆、みんな、
人間のクズとしか思えない俺なんかと、ずっと一緒に。


「花、買っていこう」
「……ん」
「とびきり綺麗な、美菜が好きだったやつ」


この夏が終わればなにかが変わるだろうか。

隠し続けていた不透明な夏。

秋を過ぎ、冬を越え、暖かな春の後に必ずやってくる夏。



俺達が怯えた、夏。
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