あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
固く閉じていた瞼の裏に、籠る熱。それがなによりの証拠。

俺が本当に欲しかったもの。
俺が本当に望んでいたもの。


『い、嫌だ……いや、ちーちゃん!っ、止め…!』


苦痛に歪む顔ではなく、優しく微笑む美菜の顔が見たかった。

例え美菜が俺を選んでくれることはないと解っていたとしても。あんなことになるよりはマシだ。マシに決まっている。


『ああ、死んだのか』


あの時、残酷で冷たい言葉を吐いたけれど。

心は泣いていた。誰よりも叫んでいた。醜い心と綺麗な心。どうして劣っている方が勝ってしまうのだろう。蝕まれてしまうのだろう。正しい道はいつだって狭くて険しい。でも、そこを選べていたのなら。なんて、本当に今さらだ。今さら、どうしようもない。


「そろそろ帰る、か」


空に向かって投げられた幸次の言葉に、ゆっくりと瞼を開く。
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