あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
眼前に広がるのは、瞬く無数の星々。


「今日はさ、俺ン家に泊まんね?いっつも聖ン家だと悪いしよ」
「はは、気にすることないのに」
「ばか。俺が気にすンだよ。おーし!母ちゃんに飯の準備頼んで買い出し手伝ってくっから!集合は八時ぐらいでもいいか?部屋の掃除もしなきゃなー」
「あ、もう決定なんだ?」
「おうよ!たまには俺にも接待させろって」


二人が度々笑って会話をする理由が漸く解った。最初はよく笑えるな、なんて最低なことを思っていたけど。違う、違うよ。

きっと、二人はこの星のように。

清らかで美しい光を与えてくれていたんだ。今までのことを思うととてもじゃないけど無邪気に笑うなんて出来ない。そんな俺に少しでも光を、と。どれだけ甘いんだよ。どれだけ優しいんだよ。

ずっと、夜空が苦手だった。月が怖くて、怖くて。監視をされているようだったから。今日だって不気味に紅く光る月が恐ろしい。

でも、どうしてだろう。少しだけ、本当に少しだけ。

今は柔らかな輪郭に見える。

幸次、聖、ありがとう。この気持ちは嘘じゃない。二人に出会えて良かった。二人のことをとても大切だと思う。そして、
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