あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
≪9≫ 泡沫夢幻


幸次の葬儀は検死や様々な手続きを経て、殺害されてから四日後に執り行われた。本来なら検死後すぐに荼毘(だび)に付されるところ、顔は綺麗なままだからと。通常の葬儀の形で送ってやりたいと。

ご両親たっての強い希望だった。

同級生は全員参加。小中それぞれの卒業時の担任と副担任も県外から駆け付けた。それ以外にも関わりの深かった後輩、先輩、ご近所さんが多く集まり、村外からの参列者は高校か、大学か、この村を出てからの短い付き合いだったのだとしても。誰もが一様に哀しみの色を湛え、あいつが如何に好かれていたのかを物語っていた。

そんな気の良い奴を陰の世界へ引き込んだのは俺。


『ちーあき!』


もう、名前を呼んで貰うことも叶わない。もう、笑顔を向けて貰うことも叶わない。人の命が一つ消えていく度に思い知る。

言葉にならない尊き重み。戻らない、重み。

本当に、本当に、本当は。美菜の時に、だなんて。遅いだろ。遅すぎるだろ。だって、みんな、皆、死んだ。そして、恐らく次は。


「……千秋」
 
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