あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
思いもよらなかった聖の言葉に勢いよく顔を上げると、そこには満足気に勝ち誇った笑みを浮かべる――親友で、幼馴染がいた。


「なんとなく、だけど。幸次も解ってたんじゃないかと思う。だからあんな話をしたんだろうなって。俺はそう思うよ」


あんな、話。


『……俺、さ。千秋や聖のこと、ずっと羨ましかったよ』


ああ、もう、本当に。幸次のバカ野郎。でも、本当のバカ野郎は他でもない俺だよ。ぽたり、ぽたり、触れると火傷をしそうな程に熱くなったアスファルトに黒い染みが出来ていく。それは俺の涙だったのか、聖の涙だったのか、突然降りだした雨の仕業だったのか。

水のあわと夢とまぼろし。

窒息しそうな渇望が、そっと耳打ちをした。もう、会えない。会えない、会えない、会えない、あえな、い。


「っ、ぐ、……っ゙、」


見るも綺麗な涙雨は一瞬で村全体を飲み込んで、俺の気持ちごと全てを沈ませた。藻掻いても、足掻いても、抜け出せない透明な檻。
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