あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
「なあ、千秋」
いまだに立ち上がることが出来ない俺の頭に乗せられた手のひらは、あやすようにゆっくりと優しく一度だけ上下する。
「俺、美菜のところに行って来るよ」
「……っ、は」
「やっぱりあそこへ行かなきゃ駄目なんだろうなって思うから」
離れていく温もり。離れて行く声。
「千秋、千秋は……俺達の分まで〝生きて〟罪を償ってくれな?それと―――」
「っ、ひじ…!」
雨音に掻き消された聖の声は、なにを紡いでいたのか。
青空が見降ろす混沌の森。
『《つらそうだね、ちーちゃん》』
いつかの美菜の声が聞こえる。
「そんなの、……辛いに決まってんだろ!」
今、動かなくてどうする。今、行かなくて。俺は、俺が、こんな、