あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
心優しいあいつらを、どうか、どうか、恨まないでやって欲しい。罰を受けるのは俺だけだったはずなのに。俺だけでよかったのに。


「……ひじ、り」


水を含んだ土の匂いが、四方八方に分裂した感情の糸を擽る。

周囲一帯を覆う都会では感じることの出来ない自然の空気。変わらない村。変わらない俺。変わりたい、俺。変わらなきゃ、何も変えられない。過去をやり直すことも出来ないなら、せめて、今を。


「っ、聖いい!」


足首に掛かる負荷は、やっと立ち上がれた証拠。自分の足で走れている証明。もう戻れない夏を、もう戻れない俺達を。

〝あの日〟失った大切なものは取り返せないけれど。

未来に繋がるなにかがあるのなら、俺のすべきことは一つだけ。認めろ、隠すな、悔いて、悔いて悔いて、悔いろ!
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