あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
「ごめん…、ごめん、っ、俺はどうなっても良いから聖だけは!」


背中に跳ねる泥を気にすることもなく、ただ前だけを向いて走った。泥濘(ぬかる)んで、足元を掬われそうになっても、ただ走り続けた。

自らの死を覚悟した友人のもとへ。俺が犯した罪が眠る森へ。


「っ゙、……み、な゙ぁぁ!」


決着を着けよう。俺とお前、そして聖で。

最初から解っていたんだ。お似合いの二人だと。聖にその気がなかったとしても、いつか。美菜が真っ直ぐに想い続けていたのなら。


(咲いていたかもしれない、実っていたのかもしれない)


それなのに、俺の歪んだ心が邪魔をした。

綾や早紀、幸次までも巻き込んで邪魔をした。幼さを言い訳に残酷で惨いことも平気でやった。一人じゃなにも出来なかったくせに。

ぶくぶく、ぶくぶく。

沈んで、浮いて、沈んで、消えて。水の底で燻る想い。


それは泡と共に儚く弾ける。
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