一方通行

「ねぇ。」


私は後ろから転入生、瀧本を呼んでいる。


「…。」


あれ？聞こえてない？


「おーい！」


「…。」


聞こえてるよね？


「たーきーもーとー！」


「…。」


もしかして花村の話、鵜呑みにしてんの？


「ぃや、振り向いてよ！」


「だって、先生が決して振り向くなと。」


いやいやいや、おかしいでしょ。

確かに言ったけど、呼んだら振り向くよね？ふつー！


「流石に名前呼んでんだから普通に返事してよ。」


「ぃや、先生が…」


おかしい！こいつおかしい！！


「ちょっと優希。
転入1日目から絡まないで。」


「さくら！こいつおかしいよ！」


「ちょっと！失礼でしょ！」


「言い方が悪かった！変わってるよ！！」


「優希！
ごめんね、瀧本くん。この子思ったことすぐ口にしちゃうんだ。」


「大丈夫だよ。初めて言われたけど。」


初めて⁉︎嘘だ！

今までみんな気、使ってたんだ！

そうだ！そうに違いない！！


「私は本城さくら。このクラスの委員長。わからないことがあったらなんでも聞いてね。」


「うん。君は？」


「え、私？」


今、私に質問された？


「そう。君だよ。」


「私は、橘 優希。なんか文句ある⁉︎」



「まだ何も言ってないけど。」


なんだよこいつ！
簡単に瀧本を説明すると、爽やかくんだ！
喋らなければ、イケメン！
喋っちゃうと、残念！
そんなやつ！


「今、なんか失礼なこと考えたでしょ！」


「…！！か、考えてない！！」


「あ、そうっ。
じゃあ、瀧本くん、1時間目移動教室だから移動がてら学校をザッと案内するね。」


「えー、さくら一緒に行かないのー？」


「うん、行ってて。」


「はーい…。」