終わりかけの永遠に
「なんでホームルーム出なかったの?」

「あんた、質問しかできねーのかよ」

「いいから!答えてよ」

「面倒だから。ただそれだけ」


面倒臭がりな人なんだ。


「もうすぐ一時限目始まるけど」

「騎田くんも行こーよ!」

「嫌」

「学校に来て授業出ないとか意味わかんないし。行くよー!」


かなり強引に、私は騎田くんを引っ張り、教室に向かう。
なんだかんだ言って、質問に答えてくれたり、着いてきてくれたりするところ、いい人だと思う。

ガラガラガラッと扉が空き、教室内にいた生徒の視線が集まる。
騎田くんはみんなからすぐに目を逸らし、下ばかり見ていた。


「誰?あの男子」

「さぁ?でもさ、カッコよくない?」


コソコソとあちらこちらから会話が生まれる。
騎田くんは居心地が悪そうにため息をついた。


「騎田、くんです。騎田千歳」


その空気をどうにかしたくて、私は口を開いた。
騎田くんは少し驚いた表情をしている。


「あー、この席の!」

「男子だったんだー」


コソコソした会話が無くなり、騎田くんは教室の中に入った。


「おかえり、莉愛」

「ただいまー、咲良!」

「まさか騎田千歳を連れて帰ってくるとはね」


咲良はふふっと笑った。


「半ば強引だけどね」


そういって私も笑った。
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