終わりかけの永遠に
大体弾けるようになった頃、私達は、通してlilyを演奏することにした。


「最初は明が書いた歌詞からだから、莉愛から」

「うん」


私はドキドキしながらベースを構え直し、千歳くんのギターの音色と共に弦を震わせた。


「暗闇の中で藻掻いてばかりで」

「独りぼっちだと塞ぎ込んでいた」

「誰にも届かない叫びを声が枯れるほど上げた」

「何度も叫び 諦めた頃に声が聞こえた」

「自分と同じように叫ぶ誰かの」


...私は、千歳くんの叫びを聞けたのかな。
そう思いながら歌い続けていたけど、千歳くんの表情を見て、すぐにそんな不安は消え去った。

すごく、楽しそうな顔をしている。

私は、千歳くんの役に立てたのかな。
そう思うと、嬉しかった。
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