終わりかけの永遠に
それから暫く練習をする日々が続き、いよいよ文化祭は明日になった。


「ねぇ、莉愛ちゃん!」


声をかけてきたのは、クラスメイトの佑実ちゃんだった。


「何?」

「莉愛ちゃんって、千歳くんのこと好きでしょー?」

「えぇっ!?」


佑実ちゃんは耳元で言ったのに、私は大きなリアクションを取ってしまった。


「あははっ、莉愛ちゃんバレバレー。皆気付いてるよ?」

「嘘...っ!」


千歳くんが好き。
その気持ちは、私が気づく前から大きくなっていた。
いつの間にか、千歳くんしか見ていなくて、千歳くんのことしか考えられなくなるときだってあって。


「...文化祭の日、二人で回れば?」

「えっ!?」

「もしかしたら、いい雰囲気になっちゃうかもよ?」


からかうような佑実ちゃんの言葉に、顔が熱くなる。


「もー、莉愛ちゃん可愛すぎ!私達も協力、応援するからさ...」


協力、応援するからさ、気持ち、伝えたら?

その言葉の続きに、私は戸惑いを隠せない。


「せっかくのチャンスじゃん?千歳くんのこと好きな子、結構いるから早くしなきゃ」


やっぱり、千歳くんはモテるんだ。

この気持ちを、千歳くんに伝えなきゃ。
手遅れになる前に。


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