終わりかけの永遠に
室内は肌寒くて、暗い。
思ったよりクオリティー高いし...。

私はゆっくりと歩みを進める。
怖い...怖すぎる。

何も出てきてなくても、雰囲気だけで十分怖い。

そう思っているところに、ゾンビの格好をした人がフラフラとこっちに来るのが見えた。


「きゃあああっ!」


私の叫び声が響く。


「莉愛?どうしたの?」


千歳くんは不思議そうに私を見る。
ゾンビが来ても、特に大きな反応もしない。
「わぁ、ビックリしたー。出てくるタイミング上手だねー」とゾンビや幽霊役の生徒にパチパチと拍手を送っているほどだ。


「もしかして、怖いの?」


あからさまにギクッというリアクションを取ってしまった。


「じゃあ、俺の手握ってて。少しは怖くなくなるかも」


そう言って千歳くんは、手を差し出してきた。

私は高鳴る鼓動を感じながら、千歳くんの手を握った。
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