終わりかけの永遠に
「騎田くんは何を歌うの?」


音楽の先生に聞かれた騎田くんは、「じゃあ、『trap』で。」と答えた。
確か『trap』って、少し前に人気だったバンドの曲だったような気がする。


「trap! Can you feel me?
You can't hold back your feelings anymore」


彼の歌声に、その場にいる誰もが引き込まれた。
それには、もちろん、私も含まれている。

力強くて、繊細で、透き通ってて、少しハスキーで。
気だるそうに歌っているけど、上手さは際立っていた。
『Lily』を歌っていた時とは声も雰囲気も違う。
こんなに周りを魅了するなんて...。


「ヤバい!騎田千歳上手すぎでしょ!」


咲良ちゃんが興奮気味で言う。


「そうだね...やっぱり騎田くんは...」


私は確信した。



彼には絶対の才能がある。
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