終わりかけの永遠に

傷痕

「き、騎田くん...」


前を歩く騎田くんに、恐る恐る声をかける。


「ん?」

「えっと...その...」

「俺、軽音部の活動は、嫌いじゃねぇからさ」

「え...?」

「馴れ合いとかするつもりは別に、ねぇけど。あんたのことも、別に嫌いなわけじゃねぇよ」


その言葉に、私の心は少し弾む。

やっぱり、騎田くんは優しい人。
私が傷つかないように、気を遣える人。


「...うん。私も、騎田くんのこと、嫌いじゃないよ」


自分のその言葉に、何故か少し戸惑った。

騎田くんのことは、嫌いじゃない。
寧ろ好きで、でもそれは、なんだか咲良に対する好きとは違う好きで、今まで感じたことの無い気持ちだった。

これが世に言う恋...?

...いや、まさかね。
私はただ、騎田くんをデビューさせたいだけ、のはずだから。
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