終わりかけの永遠に
...正直、ドン引くしかなかった。
教室内の視線は、完全にソイツに集まっている。


「今日からよろしくなっ!みんなっ!」


俺と同じく、みんなドン引いていただろう。
今時こんな男いるんだ...ってくらい、ソイツはバカみたいに明るかった。

彼には恥じらいとかないんだろうか。
まぁ、羨ましいけど。


「よ、よろしく...」


一人の男子生徒の声に、「よろしく」という単語が飛び交った。
彼のお陰で教室内の緊張はすっかり消えていた。

みんなが、周りの人と話し始める。


「なんか、アイツすげーな」

「ほんとほんと、今時珍しい肉食系っぽい雰囲気!」


みんなが笑顔になっている。


「す、すごい...」


俺はただただ驚くしかなかった。


「ん?どーした?」


...彼にとっては、普通の光景なんだろう。
驚く素振りなんて、一つも見せなかった。


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺、橋屋。橋屋明。よろしく!」

「騎田千歳です。よろしく...」

「へぇ!可愛い名前じゃん。千歳、よろしく!」


明くん、かぁ。
本当、そのままって感じ。

当の俺は、長生き出来そうには見えないだろうな、なんて考えた。
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