終わりかけの永遠に
そんな俺の気持ちを読み取ったかのように、明は「千歳のことに決まってんだろ」と言った。


「え...?」

「俺はお前の叫びを聞いた。お前も、俺の叫びを聞いてくれてるよ」


確かに明は俺の叫びを聞いてくれていたと思う。
独りぼっちだと思っていたけど、明が俺を、そんな暗い所から引きずり出して、色んな世界を見せてくれた。

でも、俺は明の叫びを聞けていただろうか。
明るくて、悩みなんか無さそうで。
悩みがあって叫んでいたなら、俺はその叫びに気づけていなかったんじゃないか?


「...俺さ、ずっと悩んでたんだ。俺の兄貴、すっげぇ頭良くて、バカな俺はすぐ比べられて。兄がこんなに頭良いのになんでお前はって、ずっと言われてきた。褒められた記憶なんかなくて、いつも自分ってダメだなって思いながら生きてた」


そんなこと考えてるなんて、知らなかった。
明が自分に自信がないなんて、意外だった。
俺にとっては、明はキラキラしてて、憧れだったから。


「...そんな時にさ、千歳に出会って、千歳は俺のすることを楽しそうに見て、すごいって褒めてくれてさ。最初は馴れなくてくすぐったくて、よく分かんなかったんだけどさ、次第に気づいてったんだよな。あー...俺、誰かに褒められてみたかったんだって。千歳は初めて俺を褒めてくれた。何をやっても兄貴が上で、ダメな方って言われてた俺なんかを」


そう言った明の表情は、いつもよりどこか優しげで、明るい明とは少し違うような、そんな表情だった。

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