終わりかけの永遠に
教室に戻ると、ソイツはニコニコと笑顔を作り、たちまち友達を増やしていった。

コイツは味方を作るのが上手い。
だから、誰も反抗できなかった。


「千歳、孝輔って...」

「...っ、ごめん」


話しかけてくる明に謝って素通りする。
もちろん、明が納得するわけがない。


「おい、どうしたんだよ。具合でも悪いのか?それともアイツに何か...」

「なんでもない。アイツには...新...孝輔に、何かされるわけないじゃん。だって、大親友なんだから」


明を突き放す言葉を、必死に探した。
お願いだから、これ以上話しかけてこないで。
明...頼むから...俺のこと心配しないで。


「そんなの嘘だろ?千歳の顔見てりゃ分かるって」

「...知ったような口聞くな」

「え?」

「...俺の...俺の親友は孝輔なんだって!明は...明は親友なんかじゃない...!」


親友じゃない、心友なんだ。
そう言いたいけど、ダメだ。

そんなこと言ったら、明が何をされるか分からない。


耐えられず、俺は教室を飛び出した。

そして、非常階段で一人、涙を流した。


「ごめん、明...ごめん...っ」


届かない謝罪の言葉を、繰り返しながら。
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