終わりかけの永遠に
次の日、登校中に偶然、明に会った。


「千歳...」


俺は素通りするつもりだった。

でも、明が...明が、あの曲を歌い始めたから。


「暗闇の中で藻掻いてばかりで」


この曲は、俺がいなきゃ歌えないから...。


「...独りぼっちだと塞ぎ込んでいた」

「誰にも届かない叫びを声が枯れるほど上げた」

「何度も叫び 諦めかけた頃に声が聞こえた」


その節を俺が歌い終えた時、明は真剣な顔になって、俺の目の前まで来た。


「...俺には、聞こえるんだよ」

「えっ...?」

「お前の叫び。お前が俺のこと、嫌いでもさ。俺はお前のこと、好きだから」


明にそう言われ、少し前の記憶を思い返していた。

明のことが好きだって言ったのは、誰だ。
気持ちが一方通行じゃなかったことに、本心から喜んだのは、誰だ。

全部、俺じゃないか。


「...俺も...好きだよ。明のこと。明のこと、心友だと思ってる」

「...一緒に行こうぜ、学校」


明は優しく笑って、俺の隣を歩いた。


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