終わりかけの永遠に
それから少しして、担任の先生が教室に入ってきた。


「今日から皆の担任となる、朝原健だ。よろしく」


若い男の先生がそう言って挨拶をした。


「さっそくだけど、出欠をとる。呼ばれたら返事しろよー。朝比奈ー」


出席番号が一番の私は「はい」と返事をし、次々と名前が呼ばれていく。
そして、一つの名前で進まなくなった。


「騎田?騎田千歳ー。いないのか?」


騎田千歳、という生徒がいないらしい。
確かに一つ、席が空いていた。


「仕方ない、飛ばすか。小嶋ー」


それからは一度も止まらず、順調にホームルームは進み、終わった。


「あーなんか緊張しちゃったよ。返事するとき!」

「確かにちょっと緊張しちゃうよね」

「うんうん。ていうか、騎田千歳って人、休みなのかな」


そう言って咲良は空席を見つめた。


「騎田千歳って女子かな?男子かな?」


咲良の疑問に、私も同調した。


「確かに、どっちでもありえそうだよね。」


千歳ちゃんでも千歳くんでも、いい名前だと思うし。
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