終わりかけの永遠に
ホームルームが終わり、私は席を立とうとしていた。


「どこ行くの?」

「ちょっと、屋上に」

「屋上?なんかあるの?」

「んー、まぁ」


もういないと思うけど、ちょっと気になるから。
私は教室を出て、屋上に向かった。

やっぱり風は冷たくて景色も冷たくて。
だけど、会いたかった彼はいた。


「風邪引くよ?」


その言葉に、彼は振り向いた。


「またあんた?なんか用?」

「あなたって、超能力者?瞬間移動でも出来るわけ?」

「無視かよ。つか、意味わかんねぇし」

「だって、あまりにもここに来るのが早いもん。私はホームルームが終わってすぐここに来たのにとっくにいたし。走ったんなら息くらいきれてるでしょ?」

「探偵ごっこかよ。答えは簡単。ずっとここにいたから」


分かってるだろ?とでも言いたげな彼の表情をスルーして、私は話を変えた。


「ねぇ、名前、何て言うの?」

「なんで教えなきゃなんねーの」

「呼ぶとき困るから」

「面倒くせぇな」

「いいじゃん!私は朝比奈莉愛。あなたは?」


面倒臭そうにしながらも、彼は答える。


「...騎田千歳」

「騎田、千歳...!?」


まさかとは思ってたけど、彼が、騎田千歳。
男子だったんだ、ということより、千歳って可愛い名前だから可愛い人だと思ってたのに...という残念感の方があった。
彼には失礼だけど。
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