ネトに続く現の旅
「珠子はもうすっかりお母さんの表情だね。」
「そう?毎日大声を張り上げているから、老けただけよきっと。」
子供の存在が、親をも成長させてくれるというのは本当なのだろう。
珠子はもともと、妄想家で夢見がちだった私とは違って、現実をしっかりと受け止められる落ち着きを持つ子だった。
それでも、子供を産む前と後では放つものが全然違うのだから、お母さんになるというのは、きっと私の想像を超えるほどに、素晴らしく壮大なことなのだろう。
珠子の懐かしくて柔らかい笑顔を見つめながら、そんなことを思っていた。
「睦月はなんだか綺麗になったんじゃない?好きな人でもいるの?」
子供にジュースを飲ませながら、珠子は言った。
「うーん…もっと知りたかったり、傍にいたら楽しいだろうなぁって思える人なら、いることはいる。」
「へぇ~睦月が男の人にそんな風に思うなんて珍しいね。自分でいつも、ここまでっていうようなブレーキをかけてる所があるじゃない。」
「そうね。だって色々考えていると、面倒くさくなっちゃうんだもの。もちろん義両親のことがいつも頭の中にあるっていうのも事実だけど、例えば付き合っている人がいたとしても、その人と自分の間に子供がいるところとか、私の選んだネクタイを結んだ旦那さんと、ふたりで友人の結婚式に出席するところとか、そういうことがまったく想像できないんだもの。」
私は、部屋の冷房のスイッチを入れて、そう笑い飛ばした。
「彼とは想像できるの?」
さらりと珠子が言った。
「そう?毎日大声を張り上げているから、老けただけよきっと。」
子供の存在が、親をも成長させてくれるというのは本当なのだろう。
珠子はもともと、妄想家で夢見がちだった私とは違って、現実をしっかりと受け止められる落ち着きを持つ子だった。
それでも、子供を産む前と後では放つものが全然違うのだから、お母さんになるというのは、きっと私の想像を超えるほどに、素晴らしく壮大なことなのだろう。
珠子の懐かしくて柔らかい笑顔を見つめながら、そんなことを思っていた。
「睦月はなんだか綺麗になったんじゃない?好きな人でもいるの?」
子供にジュースを飲ませながら、珠子は言った。
「うーん…もっと知りたかったり、傍にいたら楽しいだろうなぁって思える人なら、いることはいる。」
「へぇ~睦月が男の人にそんな風に思うなんて珍しいね。自分でいつも、ここまでっていうようなブレーキをかけてる所があるじゃない。」
「そうね。だって色々考えていると、面倒くさくなっちゃうんだもの。もちろん義両親のことがいつも頭の中にあるっていうのも事実だけど、例えば付き合っている人がいたとしても、その人と自分の間に子供がいるところとか、私の選んだネクタイを結んだ旦那さんと、ふたりで友人の結婚式に出席するところとか、そういうことがまったく想像できないんだもの。」
私は、部屋の冷房のスイッチを入れて、そう笑い飛ばした。
「彼とは想像できるの?」
さらりと珠子が言った。