ネトに続く現の旅
「人には決められた一人の相手がいてな。その相手とは、不思議な縁で結ばれているんだよ。忘れられそうになっても、忘れられない。切ろうと思っても、ひょんなきっかけで頭に浮かんだり、ばったり出くわしてしまったりな。お前にもいるだろうそんな相手が。お父さんにもいる。もう随分と昔の話だけど、未だにふとした時に思い出したりするよ。会おうと思えばきっといつでも会えるんだろうけれど、そういう関係ともまた違うんだ。」
先に眠ってしまった養母を寝室に残して、おとぎ話でも語るように養父が言った。
「それって異性っていうこと?」
「あぁ、そうだよ。あ、今の話は母さんには内緒だぞ。あれはすぐに焼きもちを焼くからな。」
「わかってるわよ。」
内緒話でもするように、急に小さな声になった養父の様子が面白かったので、私はくすくすと笑ってしまった。
養父とこんな話をするのは、いつくらいぶりだろう。
昔は、よくこんな風に夜遅くまで、養父と養母と三人で色々な話をしていた。
養母の手作りのケーキや蒸しパンを話のお供に並べて、丁寧にお茶を入れて、居間の灯りをつけて三人でいつまでも一緒にいた。
先に眠ってしまった養母を寝室に残して、おとぎ話でも語るように養父が言った。
「それって異性っていうこと?」
「あぁ、そうだよ。あ、今の話は母さんには内緒だぞ。あれはすぐに焼きもちを焼くからな。」
「わかってるわよ。」
内緒話でもするように、急に小さな声になった養父の様子が面白かったので、私はくすくすと笑ってしまった。
養父とこんな話をするのは、いつくらいぶりだろう。
昔は、よくこんな風に夜遅くまで、養父と養母と三人で色々な話をしていた。
養母の手作りのケーキや蒸しパンを話のお供に並べて、丁寧にお茶を入れて、居間の灯りをつけて三人でいつまでも一緒にいた。