ネトに続く現の旅
     5


温めた牛乳を飲みながら、私は現の部屋のガラスのテーブルの上に、家から持参した妄想ノートなる物を広げて、昨日見た夢を面白可笑しく広げたプチ小説を書いていた。

「妄想から小説が書けちゃうんだ、すごいね。」

「意外ね、現も嫌味を言ったりするんだ。」

「違う違う、嫌味なんかじゃないよ。俺はあんまり妄想ってしたことないし、もちろん文章なんか書けないから、素直にすごいなぁって思ったんだ。」

慌ててそう弁解している現の、大袈裟な手の振り方が可愛かった。

「冗談よ、ありがとう。」

そんな現の様子に笑みを見せてから、私はまた牛乳を口に含んで、銀色のシャープペンシルを手に取った。
そんな私の横で、現はこの間近所の公園で撮った私の写真を、黙々と見ていた。

あの日、西日の当たるブランコに乗って喜ぶ私の姿を、現は夢中で撮っていた。
大口を開けて笑いながら漕ぐものだから、口の中に何度も虫が飛び込んだ。
でも現と一緒ならそれすら嬉しくて、ふたりで大笑いしながら、日が隠れるまでそこにいた。
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