ネトに続く現の旅
現は、決して自分から私の私情を聞かなかったけれど、ふたりの間には、言葉では言い表せないような何かが確実にあった。

たぶん、たぶんだけど、このままの関係ではいられないだろうということが、お互いなんとなくわかっていたのだと思う。

予感のようなもの。その理由は、私の嘘と家庭の事情…だけではない気がした。今思えば、初めて現の家に遊びに行ったあの日から、大きなプログラムの中に、現と私は組み込まれていたのかもしれない。
そして最終的に待ちわびているものに、段々と、でも確実に近づいていっているということも、お互いがこの時に気づき始めていた。

でも、幸い二人とも何にでも楽しみを見い出せる性格だったので、そんなことも全てをひっくるめても、二人でいることが余りにも自然で、何より幸せだと感じていた私たちは、周りにいる普通のカップルと同じようにうまくいっていた。
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