ネトに続く現の旅
「おい、その顔はまたどこか妄想の国にぶっ飛んでるな。」

呆れた様子の現の声の通りに、その時私は、アンゴラという地に降り立ってカメラを構える現の姿を想像していた。

アンゴラがどういう所なのか、私は見たことも無かったけれど、なぜか現は靴を履いていなくて、灰色をした大きな丘の真ん中に陣取って、煙のあがるアンゴラの街並みに向かって、ひたすらシャッターを切っていた。
生暖かくてとても強い風が吹いていて、現の髪や服や体ごと、まるごと全てを巻き上げていってしまいそうだった。

「…どのくらい行っているの?」

「正直わからない。一年かもしれないし、三年かもしれないし、向こうでなければ生きられないようになってしまうのかもしれないし、一カ月くらいで満足して帰ってくるのかもしれない。」

現の話を聞きながら、最後のだけは絶対に無いなと思った。

「死ぬとか生きて戻るとかそんなんじゃなくて、上手く言えないけど、ずっと夢だったんだ。前にも話したけど、向こうに降り立った時に、ここだって思った。そんな世界を目の前にして、すぐに帰るっていう約束はできない。」
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