ネトに続く現の旅
みんないろんな物を背負って生きているんだなぁ。
この地球に暮らす人間が、何十億人いるのかよく知らないけれど、当たり前のことだけど、その人たちにも一人一人それぞれの人生があって、少しずつ幸せや不幸せがやってくる人もいれば、それを幸せだとは思えない人がいたり、不幸だなんて考えもせずに、毎日を明るく生きている人がいたり、分かれ道ばかりの人だったり、今この瞬間に、この世に産まれた命もあれば、死に行く人もいて、そういうことを全部ひっくるめて、今私が生きて動いていたり、現のとなりでお腹をすかせていたり、現に触れたいと思っていたり、そういうことを大切に思わないといけないんだなぁって、急に感じた。

私は、珍しく真剣に現にそう語りかけた。

「そうだよ。でも、それに今気がついたむっちゃんはすごいな。そういうのって皮肉なことに、自分の身に悲しいことが起きた時とかに浮かんだりするじゃない。大切な人が亡くなった時とかに、日々の事柄を改めなくちゃって思ったりさ。なかなか普段の生活の中で見いだせるもんじゃないよ。」

「きっとハナちゃんのおじいさんが亡くなった話を聞いたからよ。」

「でもそれを、自分のことのようにちゃんと取り込んで、ハナちゃんの側から見られたっていうことだろ。世界中のみんなが、むっちゃんみたいな柔軟な心を持っていたら、きっと戦争なんてものは起きないよね。」
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