ネトに続く現の旅
「見送りには行かないからね。」
私は目にいっぱい涙を溜めながら、現の瞳を真っ直ぐに見つめ返してそう言った。
「うん、わかってる。実はこの間の話、もう何ヶ月も前に言われたことなんだ。あの日、むっちゃんにつくねの食べ方を教えてもらった日から、自分でも信じられないほどの速さでむっちゃんが俺の中に入ってきて、あっという間にむっちゃんでいっぱいになった。むっちゃんといると、自分の見に起きること全てが楽しいことに変わっていくから、なかなか話ができなかったんだ。ほら、結構深刻な話でしょ。戦場に行くわけだし。ごめん、俺ずっとふらふらしてたけど、こんな風に想えるのって、きっと後にも先にもむっちゃんだけだよ。」
現からもらった最初で最後の愛の言葉だった。
ちゃんと「きっと」っていう言葉を使うところが、最後まで現らしいと思った。
「むっちゃんは一緒に行けないもんね。」
現が片方の口の端を上げて、小さく呟いた。
頭のてっぺんから足の先までの全てを伝って、私の体に積もり積もったものが流れ出していくようだった。
「現は私の全てを知っているのね。」
下を向いて、もう一度泣きそうな顔をしてから、精一杯の笑顔を作り直して私は言った。
私は目にいっぱい涙を溜めながら、現の瞳を真っ直ぐに見つめ返してそう言った。
「うん、わかってる。実はこの間の話、もう何ヶ月も前に言われたことなんだ。あの日、むっちゃんにつくねの食べ方を教えてもらった日から、自分でも信じられないほどの速さでむっちゃんが俺の中に入ってきて、あっという間にむっちゃんでいっぱいになった。むっちゃんといると、自分の見に起きること全てが楽しいことに変わっていくから、なかなか話ができなかったんだ。ほら、結構深刻な話でしょ。戦場に行くわけだし。ごめん、俺ずっとふらふらしてたけど、こんな風に想えるのって、きっと後にも先にもむっちゃんだけだよ。」
現からもらった最初で最後の愛の言葉だった。
ちゃんと「きっと」っていう言葉を使うところが、最後まで現らしいと思った。
「むっちゃんは一緒に行けないもんね。」
現が片方の口の端を上げて、小さく呟いた。
頭のてっぺんから足の先までの全てを伝って、私の体に積もり積もったものが流れ出していくようだった。
「現は私の全てを知っているのね。」
下を向いて、もう一度泣きそうな顔をしてから、精一杯の笑顔を作り直して私は言った。