ネトに続く現の旅
まだ寒さの残る弥生の空には、カストルとポルックスの輝星が、朝日を浴びて消えそうになりがらも瞬いていた。
どちらが兄でどちらか弟だったか忘れてしまったけれど、兄が死んでしまうと、弟は不死身の体を分けてやり、二人は一日おきに神の世界と人間の世界とで仲良く暮らした。そんな話。

現は死んでしまった訳ではない。夢の中の人でもない。
実在しているからこそ、想えばこんなにも胸が痛むのだ。
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