ネトに続く現の旅
あの日、成田から現が旅立ってしまってから、私は何度泣いただろう。

コンビニで現の好きだったプリンを見つければ涙が出た。
街中でハナちゃんを見かければ涙が出た。
本屋で現が口ずさんでいた歌が流れれば、それだけで涙で目の前がぼやけた。

あれだけ一緒にいたのだから寂しいのは当たり前で、それでも同じだけ、現を思い出しては優しくなれた。
前向きな気持ちになれた。
頑張って生きようと思えた。

こんなにも影響されて、胸の中をかき回されて、愛おしくてたまらないと思える人に出会えたことは、何より私の糧になった。
生きていく上での、人生の。
これから、きっともっと素晴らしいことが私を待ってる。
その時に、現がとなりにいるのか、いないのかはわからないけれど、きっとどちらでも大丈夫だと思った。
その先っぽが、現に繋がっていることに変わりは無いのだから。


今頃現も、どこかで同じように見上げているのかな。
私は、毎朝朝日に向かって祈ったりするようないい女ではないけれど、ちょうど良い間隔で並んだ二つ星を、今日は無性に羨ましく思った。
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