病的に両価的

不可視

『不可視』


新月の夜
廃墟ビルの陰
蛍光色のネオンが朧気に明る街

その裏側で
君は今日も
不可視なものになろうとしてる

この声がまだ届くなら

何もかも無くしたような
視線の先に
映る景色を分けてくれ

アスファルトを打つ雨の音
濡れた前髪
細い指

鬱陶しげに
掻き上げるその仕草は
記憶の奥の誰かに似てる

君もそうだろう
僕を見ないで
消えてくんだろう

同じ高さで合わせた目線
そんな日々を
思い出すけれど

僕にももう
君が見えない
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